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『 真白 』
そう呼ばれる度にドキドキして
心を寄せていた自分
その頃の気持ちが
本物じゃないと否定された気がして
「…なに、それ…
――――なに……」
知らず知らず声が漏れる。
なんでよ
あの子は本気であなたが―――
渡ろうとした信号が赤に変わる。
荒い息を繰り返しながら流れ出す車を眺めた。
『――――錯覚 』
本当は…
本当はそうだった?
小さく唇を動いて
落ちた言葉がエンジンの音に掻き消される。
「 本気だったわよ 馬鹿… 」
ぼやけた視界の隅でランプが青に変わり、
それと同時に私は前へと駆け出した。
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