怜奈と私

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何となく腑に落ちない様子で時計に目を向けた長濱さんは、 あっ と小さく漏らすと 「もう定時だ、  ―――小川さん お先です」 「今日は急いでるのね」 何となく訊ねた私に、彼女大きく笑って、 「久々に合コンがあるんです  だけど先に作戦会議してからなんですよ」 「そうなんだ」 ふっと笑うと、頭を下げて足早に受付を離れる。 「………合コンか…、」 真理から誘いのメールが来ていたのを思い出す。 だけどそれは『次は開いて』という無言メッセージ 「ごめん、もうちょっと待って…」 視線を映してガラスの向こうを眺める。 夏本番の今はまだ明るくて、 ビルの隙間から覗く空はうっすらと赤らんでいた。
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