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私服に着替えて自動ドアを出た瞬間、
じとりとした空気が体を撫でた。
纏わりつく暑さに眉をひそめながら
駅へと歩き出した時、咄嗟に足が止まる。
(―――――――――――)
視界の端に映った車に凭れていた彼が
私を見てゆっくりと身を起こした。
心臓が大きく音を立てる。
それと同時に目を逸らすと、止めていた足を急き立てた。
駅に続く道はここしかない
目を背けて脇を通り過ぎようとした時、
「 ”―――連絡してこない ”
そう言ってたけど、
連絡しても出ないのは そっちじゃない?」
耳を通り抜けた静かな声に、
彼のすぐ傍で足が止まった。
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