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『……だとしたら…、
――――あなたは最低よ 』
耳の奥でもう一度聞こえる私の声
気まずくて逃げたいのに、
「ここじゃなんだし、乗って」
そんな私からゆっくりと視線を外すと、
彼は運転席のドアを開けた。
思考が働かない
だけどどうしてだろう
気付けば私は彼を追って
助手席のドアを引いていた。
(…ほんと、馬鹿……)
流れ出す窓の外に目を向けながら
もう一人の私が私を責める。
エンジンの音が浮かぶ、狭い空間
それに耐えられなくて
今すぐ降りたい衝動が体を駆ける中、
私は小さく息をついて
「どこに行くの」と訊ねた。
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