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彼はそれには答えずに、淡々と言葉を返す。
「今日、この後の予定は?」
「…………………」
ふたりで居たくないのよ
あなたに心を引き摺られたくない
「…あるわよ、だから早く――――」
「 どこに、なん時? 」
間を置かずの問いに、咄嗟に言葉が詰まる。
(………しまった )
そう思った時にはもう遅くて、
彼は私を一瞥すると
ハンドルを切って首都高のゲートをくぐった。
「……拉致って、立派な犯罪よね 」
ぽつりと呟く私に、彼はふっと息をついて、
「家につけて来たストーカーが言う台詞?」
「…拉致の方が重罪よ 」
思い切り棘のあるいい方をしながら
ふいとそっぽを向く。
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