怜奈と私

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どこに行くのか見当もつかない私は ただ遠くに目を向けていると、 「…羽田、 羽田に向かってる 」 「…え?」 「 怜奈がアメリカに帰るから、  見送りに付き合って  …もう間に合わないだろうけど 」 目を細める横顔から目を外すと、 私は膝上の鞄をぎゅっと握る。 それから少しして国際線の駐車場に車が止まる。 先に降りて歩き出す彼に、 私は複雑な気持ちのまま少し遅れて後に続いた。 自動ドアをくぐり、電光掲示板を見上げるけれど ロサンゼルス行きのフライト表示は、19時丁度で ( 出ちゃったのかしら… ) 現在時刻は18時58分 彼はそれから目を落とすと、 私を促してエレベーターへと足を向けた。
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