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沸き上がる気持ちに思わず舌打ちをした時、
テーブルの上でそれが短く震えた。
『 久しぶり
ようやく少し落ち着いて来たんだけど
今度一緒にあのパブに行かないか? 』
数週間ぶりの富士川さんからのメール
それを暫く眺めながら
重い頭で来週の予定を浮かべる。
別れた時の表情がふっと頭を掠めて
『 富士川さんとはそうなってもいい? 』
心のどこかから静かな問いが聞こえた。
(…当たり前じゃない )
もう一人の私が呟く。
もしもそこまで進めたら
富士川さんは私を追ってくれる
そんな確信めいたものがあった。
なのに、心の中から追い出せない人が
そこへと進もうとする私を躊躇わせる。
過去の男は心から居なくなったのに
( 本当、やっかいな男… )
私は長いため息をつくと、
『 来週なら、いつでも大丈夫です 』
短い文章を指先で送った。
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