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(―――――――――)
―――胸が痛い
見た訳じゃないのに、
それを言われたあの子の顔が浮かんだ。
私は浅い息を繰り返しながら
離れていく飛行機を見送る。
「……本気で泣かせたでしょう 」
独り言のような問いに、彼は何も答えない。
だけど風の音に混じって
ふっと息をついたのが聞こえた。
「怜奈から伝言を預かってる
”あなたなんて大っ嫌いだけど…、
ありがとう” って 」
「―――――――――――――」
……なに、それ
胸が思い切り詰まって、視界がぼやけそうになる。
それを悟られないように空を仰いだ私は、
「 随分な台詞ね 」
そう小さく漏らした。
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