怜奈と私

32/39
前へ
/39ページ
次へ
それからどれくらい経っただろうか 感情が交差する その整理がつかない私は、 あの子を乗せた飛行機が見えなくなっても ずっと遠くを見ていた。 オレンジ色の灯りが揺らめく中、視界の端にいる彼が少し動く。 それを追ってカチン と、硬い音が聞こえて 目の前に紫煙が流れた。 (――――――――――――) ゆっくりと視線を移すと、 フェンスに背を預ける彼の奥には、 細い月と遠ざかる飛行機 夜風が紫煙を何度か攫った時、 そっと手を伸ばして彼が咥えた煙草を抜いた。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

482人が本棚に入れています
本棚に追加