怜奈と私

34/39
前へ
/39ページ
次へ
「――――――――――――」 僅かに肩が跳ねた。 泳いだ視線を誤魔化そうとした私に、 「怜奈と話したあの日、あれから電話したのは―――、」 独り言のような声が届いた後、静かな間が流れる。 だけどそれがこの隔離された空間を浮き上がらせて、 鼓動が速くなった。 そこからいくら待ってもその先の言葉はなくて、 代わりに届いたのは 「男に慣れてる割に、  ピエモンテの男や、こないだの船の男といい  あんなのに引っかかって心に傷を作るなんて、  本当に見る目がない」
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

482人が本棚に入れています
本棚に追加