怜奈と私

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『 行きたい所は私が決めておくから 』 にっこりと微笑んだ私は その日家の近くの郵便局の前で彼と別れた。 相変わらずあの人の事が判らない私には、 あんな事を言った本意が読めない ―――だけど、 ( 馬鹿にされたままなのは…癪よ ) 素の私を知られ過ぎてしまてるけど、 男を追わせる私だって ”私” それを判らせるためのデートなんだから 心を揺らされないように気をつけないと それから毎日仕事帰りに本屋で雑誌を立ち読みしたり、 日帰りで行ける場所をネットで調べたりした。 でも、調べれば調べる程どうしたらいいのか判らなくて、 頭の中がぐるぐるとするだけ 約束の土曜日は、もう明後日 私はため息混じりにビールを飲みながら スマホのアドレスを開いた。 星マークの男の名前を辿ると その男としたデートがぼんやりと頭に浮かんで、 (…そうよ、星の数程デートはしたじゃない) そんな私が悩むなんて馬鹿みたい 私はビールを一気に飲み干してメール画面を開いた。
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