怜奈と私

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オフィス街の中にあるこのスタバは 会社帰りの人で少し混んでいた。 きょろきょろと店内を見渡すと 一番端のソファー席で窓の外を眺める姿が目に留まる。 (……ほんとに居たんだ ) アイスラテを手に 私は重い足取りでそちらに近付いた。 「 お待たせ 」 私の声にその子はゆっくりとこちらを見上げる。 その視線に多少の居心地の悪さを感じながら 向かいの椅子を引いた。 「………………………」 無言で視線を交わす私たちの間に 店内のざわめきが通り抜ける。 私は一呼吸おいて、 「こうして会社に来られるのは…  ちょっと困るんだけど」 出来るだけ穏やかに口を開くと、 その子は少しだけばつが悪そうに目を細めた。 「…それは悪いと思ったけど…    朔に聞いても、  あなたはローツの受付してる人としか言わないし、  色々と調べるには時間が無かったの  日本に居られるのはあと数日だから 」
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