かりそめのデート

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「……ね、甘いものって苦手なの?」 「 自分から食べることはないけど 」 「…ふーん…」 その答えに小さく鼻を鳴らした私は、 それを彼の目の前に差し出した。 「――自分からは食べないけどって事でしょ?  映画といえばポップコーンだし、どうぞ 」 僅かに開いた彼の目に、 意地悪そうに目を細める私が映る。  丁度その時、 時間になったのか、照明がだんだんと落ち始めた。 駈け込んで来た人が私たちの少し先のシートに腰掛けた時、 彼の前に出した手が掴まれて、ゆっくりと引き寄せられる。
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