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(…手、か……)
私は彼の膝の上に視線を落とすと、頭を巡らせる。
( こっちばっかり驚かされていられないわ )
私の視界の真ん中には
骨ばった手の甲と、長い指
(…私が手を握って、喜ばなかった男はいないし…、)
いい加減、思う通りの反応も見せて貰わないと
驚いて目を開く彼の顔を頭に浮かべながら、
そっと手を伸ばす。
と、手の甲に指先が触れかけた時、
急に視界の中からそれが消えて、
(――――え?)
瞬間、視界がぐらりと揺れたかと思うと
私の髪が彼の肩に流れる。
「――――――――――」
一瞬どうなったのか判らない
だけど、すぐ傍にある彼の横顔や
腰に回された手に、一気に体中に熱が走った。
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