かりそめのデート

14/40
前へ
/40ページ
次へ
(…手、か……) 私は彼の膝の上に視線を落とすと、頭を巡らせる。 ( こっちばっかり驚かされていられないわ ) 私の視界の真ん中には 骨ばった手の甲と、長い指 (…私が手を握って、喜ばなかった男はいないし…、) いい加減、思う通りの反応も見せて貰わないと 驚いて目を開く彼の顔を頭に浮かべながら、 そっと手を伸ばす。 と、手の甲に指先が触れかけた時、 急に視界の中からそれが消えて、 (――――え?) 瞬間、視界がぐらりと揺れたかと思うと 私の髪が彼の肩に流れる。 「――――――――――」 一瞬どうなったのか判らない だけど、すぐ傍にある彼の横顔や 腰に回された手に、一気に体中に熱が走った。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

471人が本棚に入れています
本棚に追加