かりそめのデート

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それと同時に大きく跳ねた心臓が騒ぎ出す。 こうなったらもう、映画どころじゃない 隣を見る事も出来ない私は映画を見るしかないのに、 内容なんて全然頭に入らなくて (―――なんなの ) 彼はなんのつもりなんだろう 触れた場所から私の心音が伝わってしまいそうで、 強く唇を噛んだ。 そこからは身が入らない映画を 更に身が入らないまま眺め続ける。 『 ねぇ、待って!   私東京タワー、行きたい 』 ストーリーもラストに差し掛かったらしく、 『東京タワーに行きたい』と言われた男の方は、 苦笑いで頷いて恵比寿を後にした。
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