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スクリーンにエンドロールが流れ始める。
画面中の二人は
笑ったり、喧嘩したり、すれ違ったりして、
それでも最後にはやっぱり笑って
手を繋いで歩き出した。
最後の文字が流れ終わると
劇場の照明がだんだんと戻り、彼の手が離れる。
それと同時にゆっくりと身を起した私は
氷の溶けたコーラに手を伸ばした。
( はぁ…… )
本当、どっと疲れた。
炭酸の抜けたそれを喉に流していると、
ゆっくりとこちらを見た彼は、
「 面白かった?」
「……え、えぇ 面白かったわ 」
「――――なら良かった 」
綺麗に目を細めて笑う私に、彼は口元を上げて席を立つ。
だけど、私をちらりと横目に見るその表情が
揶揄を含んでいて、
(……あー、もう…っ )
手荷物やトレーを掴むと、
小さく首を振って先を歩き出す彼の後を追った。
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