かりそめのデート

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「――――ハッピーゴンドラって知ってる?  ひとつしかない紫の観覧車が  そう呼ばれてるんだって」 前を並ぶカップルの声につられて上を見上げると、  確かにたった一つだけが紫色をしていた。 だんだんと近付くそれを眺めながら (……って、あれ……) まさか と、 そのゴンドラと並んだ順番とを照らし合わせていく。 (―――もしかして……) 「……あっ!  紫のやつ、私たちだよ!」 自分の番だと思った時、 すぐ後ろで上がる声に思わずもう一度上を仰いだ。 (―――え?) よくよく数えると確かに一つ後ろで、 別に乗りたかった訳じゃないけど 何となく肩が落ちる。 「次の方、どうぞー」 促されるままにチケットを渡して中に乗ると、 ガチャンと金属音がしたと同時に ゆっくりと上昇し始めた。
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