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そう言った彼は私をちらりと一瞥する。
(――――ちょ、)
がっついてたなんて思われたくない私は
僅かに眉間を寄せて彼を見返す。
「久々に乗ろうと思っただけよ
それに、あなただって久々―――」
と、そこで言葉を止めて、
代わりに
「………もしかして…
二週間前に、乗った?」
そう訊れば、彼はふっと目を細めて視線を外した。
(―――――――――――――)
気持ちが僅かに下がる。
だけどそれに気付かないふりをして遠くを見つめた。
だんだんとパノラマが広がると
あまりの高さに綺麗というより少しだけ怖い。
隙間風を微かに感じながら
観覧車はもうすぐ頂上を迎えようとしていて、
同時にふっと頭を掠めたのは
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