かりそめのデート

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(―――いけない ) むくれてるなんて知られたら 負けもいいところ 私は綺麗に口元を上げて振り返ろうとした。 と、その時、 僅かに観覧車が揺れたかと思うと、 すぐ傍に気配を感じて咄嗟に顔を上げる。 それと同時に伸びてきた大きな手が 耳元にあった髪を梳いた。 (――――あ、) 瞬間、体中の血が沸き返って 瞳を捉えられる。 親指がなぞるように私の耳朶に触れた時、 僅かにあいていた唇が塞がれた。 「―――――――――――――」 ―――息が出来ない ……なに、 どうして? あなたらしい言い訳で、私をかわしたんじゃないの?
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