471人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
(―――いけない )
むくれてるなんて知られたら
負けもいいところ
私は綺麗に口元を上げて振り返ろうとした。
と、その時、
僅かに観覧車が揺れたかと思うと、
すぐ傍に気配を感じて咄嗟に顔を上げる。
それと同時に伸びてきた大きな手が
耳元にあった髪を梳いた。
(――――あ、)
瞬間、体中の血が沸き返って
瞳を捉えられる。
親指がなぞるように私の耳朶に触れた時、
僅かにあいていた唇が塞がれた。
「―――――――――――――」
―――息が出来ない
……なに、 どうして?
あなたらしい言い訳で、私をかわしたんじゃないの?
最初のコメントを投稿しよう!