かりそめのデート

35/40
471人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「――――――――――」 瞳が微かに揺れる。 ……なによ それ 『 もし会ったら 』なんて、なんのつもり そんなの口約束にもならないじゃない 何も言えない私は 目を閉じてガラスに映る彼を瞳から消した。 「……ねぇ、  あなたのお祖父さんは…あの後、何か言ってた?」 エンジンの音だけが聞こえる、無音に近い車内 この隔離された空間に響いたのは 小さな私の声で、 ガラス越しに目を向けると 一瞬目を合わせた彼はそのままふいと目を逸らす。 (―――言ってたんだ ) あの状況だと当たり前と言えば当たり前だけど、 一度彼の実家で対面した時の 面食らっていた顔が思い出される。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!