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彼の腕を掴もうとした時、
「そしたら、うちに来れば?」
「―――は?」
開いた瞳に映る唇が、ゆっくりと動く。
それと同時に信号が赤に変わって車が止まった。
彼は伸ばした私の左手を取り、
なぞるように指を滑らせる。
(―――――――――――)
ドクン と、心音が跳ねた。
それと同時に少し伏せた彼の目が私へと向いて、
その瞳の奥に微かな笑みが覗く。
”――――からかわれた ”
そう思った時にはに信号が変わって
ほどけた手がハンドルへと戻って、
(…なによ それ…)
そんな冗談、全然笑えないじゃない
私は離された手を思い切り引っ込めて、
そっぽを向いた。
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