471人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
窓の外には
残暑とは程遠い真夏の空が流れてる。
それを眺めながらふと思ったのは、
( 今日も呼ばれなかったわね… )
この人の口から
”アヤ”と聞かなくなったのはいつからだろう
それが感情を複雑にして、
私の中にいる彼を追い出せなくさせていた。
このデートの目的はひとつだけ
私の魅力を判らせること
かりそめのデートで
彼に心を引き摺られるなんてしたくない
( でも…難しいわね ほんと )
アヤなら絶対に大丈夫と自信があるのに、
真白でいると心がぐらついてしまう
ちらりと隣を盗み見て、心の中で呟く。
( ほんと、馬鹿な人
追ってくれるなら、……追わせてあげたのに )
だけど判ってもいるの
失態ばかり見せた『真白』を
わざわざ追う事はないって
(…そうね、 馬鹿なのは私も、か )
微かな息をつくと、私はまた窓の外に目を向けた。
最初のコメントを投稿しよう!