471人が本棚に入れています
本棚に追加
映画館はここの5階のようだった。
「意外だった」
「―――え?」
ぽつりと聞こえた声に、思わず顔を上げる。
「銀座とか、そっちに行くのかと」
「…あぁ そうね…、
それも良かったけど――――」
口元を上げた私は
手を伸ばして彼の腕を少しだけ掴む。
「月並みだけど映画もいいかな と思って
あなたとなら…どこでも楽しいでしょうし」
「――――――――――――」
にっこりと微笑む私に、
彼は足を止めてこちらを見下ろす。
視線が絡んだ時、ふっと目を細めた彼は
人差し指で私の頬をそっと掠めた。
最初のコメントを投稿しよう!