かりそめのデート

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映画館はここの5階のようだった。 「意外だった」 「―――え?」 ぽつりと聞こえた声に、思わず顔を上げる。 「銀座とか、そっちに行くのかと」 「…あぁ そうね…、  それも良かったけど――――」 口元を上げた私は 手を伸ばして彼の腕を少しだけ掴む。 「月並みだけど映画もいいかな と思って  あなたとなら…どこでも楽しいでしょうし」 「――――――――――――」 にっこりと微笑む私に、 彼は足を止めてこちらを見下ろす。 視線が絡んだ時、ふっと目を細めた彼は 人差し指で私の頬をそっと掠めた。
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