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(―――――――――――――――)
その仕草、 その表情
瞳が固まって動かない
するりと指が離れたと同時に
止まっていた時間が動き出して、
先を歩き出す彼の背中をただ固まった瞳が映している。
(……渡瀬 朔……、)
瞬間、一気に体に熱が走って
(――――もう……っ )
悔しいけどあっちの方が一枚上手だった
女心なんて何も判ってなさそうで、
だけどそれすらも計算なようで、
(……しっかりして、私…)
絶対にこれ以上ドキドキしないんだから
そんな気持ちが湧き上る中、
私は離れていく彼の背中へと駆け出した。
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