かりそめのデート

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それが乗ったトレーを手に、 苦い顔をして動かない彼の元に戻ると、 「……なんでそれ?」と、すぐさま眉をひそめる。 「映画っていえば、これでしょ?  これを飲んでる所を見たことがないけど、  シャンパンが飲めるならコーラだって飲めるわよね」 何を飲むかくらい聞いても良かったけど、 鉄板がコーラだっていうんだから仕方ない 「……前から思ってたけど、あんたって……」 ため息と共に向けられたのは、 何か言いたげだけど、それを諦めたような顔で、 「……私って?」 綺麗に微笑めば、彼は小さくかぶりを振って 私の手からトレーを取り、先へと歩き出した。
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