渋い現実

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裏口を出て急ぎ足で正面に回る。 と、視界に入ってきたのは 彼の肩に拳を当てる山梨さんで、 (…え、) 喧嘩してるように見えるそれに、 思わず足が止まる。 だけどよく見れば山梨さんは眉を下げていて、 私はほっとしつつ足を速めた。 「―――アヤちゃん」 「…すみません、お待たせしました」 彼が拳を外したと同時に 山梨さんが私に近付く。 「おっしゃ 行こうか  それじゃ朔はここでお別れやなー 」 言いながらちらりと振り返る山梨さんの隣で、 彼に軽く頭を下げようとした。 だけど、 「―――と言いたいとこやけど…  …しゃーないなぁ、お前も来るか?」 (―――えっ ) なんで? 予想していなかった言葉に 思わず山梨さんを見上げる。
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