渋い現実

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山梨さんは眉をしかめて 彼から私へと視線を移すと、 「『さぁ』って、なんやそれ  なぁアヤちゃん、朔に会った?」 「…どうでしょうか 」 困ったように少し目を細める私に、 「ちょ、それって会ったって事やん」 山梨さんは「やっぱし」と 大きく息を吐き出した。 「あんな船の中で出くわすって…  ほんま驚くわ   俺のデートの余韻がパーやん」 「そんな…  本当に楽しかったです またご一緒させて下さいね」 そう言って綺麗な笑顔を向けると、 真横から長いため息が聞こえた。 ( なによ… ) ただでさえ隣にいられると気が散るのに そんな空気出さないでよ 内心呟きつつ山梨さんと話を続けた。
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