渋い現実

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「こんばんは、ご無沙汰しています」 メールはたまにしていたけれど、 こうして顔を合わせるのはあの日以来で、 「本当、久々だね  取りあえず座ろうか」 背中を軽く押されて頷くと、 前と同じカウンターに並んで座った。 「―――すまなかったね  誘ったのは私なのに急に約束を変えてしまって」 「いいえ、  お忙しいのにお誘いありがとうございます」 軽く頭を下げる私に、富士川さんは目を細めて 「何も食べてないよね?  何か一緒に軽くつまもうか」 そう言ってメニューを開く。 幾つか頼んだ後、 前に先に頼んでいたジーマが置かれると、 「じゃ、お疲れ様」 軽く瓶を掲げる富士川さんに、 私も同じように合わせて口に運んだ。
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