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お祝いの言葉 なんて一言も言われてないけど、
このまま別れるにはそう言うしかない
軽く会釈して歩き出そうとした時、
「アヤ、さん」
音のない路地に彼の声が響いた。
「――はい 」
目を細めて振り返った時、
頬を撫でる風が胸の中も抜けたような気がした。
彼は私を見て、視線だけでついて来いと促す。
足を進める背中を見つめながら
(……なによ…)
内心反発するけれど、
今の私は ”彩” で、この人は今日一番のお客
「――――――――」
私は指先を握ると、少し遅れて背中を追った。
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