冷たい理想

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そろそろ帰ろうと鞄を開くと、 スマホのランプが点滅していた。 メールの差出人は今まさに話していた人で、 『こんばんは   寒くなって来たけど風邪は引いてない?  この間の出張で小川さんにお土産を買ってね  渡したいんだけど、近いうちに食事でもどうかな』 ( …そう言えば…) その文章を眺めながら先週来ていたメールを思い出す。 大阪に出張だと書かれていたのに、 それを今まで忘れていた自分に少し呆れた。 ( 駄目よ、こんなんじゃ…) 心を一旦空にして、新しく入れ替えなきゃ 私は大きく息をつくと、 返信ボタンを押して指を鳴らし始める。
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