冷たい理想

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勢いよく去っていくエンジン音を耳にしながら スマホを取り出そうとした時、 私の目の前を住人らしき人が通りかかる。 (――――――あ、) それを見た私は、 不自然にならないように後をついて自動ドアをくぐった。 エレベーターランプを見上げながら、 これで玄関までは行けると、ほっと息をつく。 12階で降りると、ゆっくりと突き当りの部屋まで歩いた。 その部屋のインターホンを眺めながら、 押そうかどうか迷う。 だけど、暫く考えた後、 手帳を出して一番後ろのページを破ると、 『 よければ使って下さい 小川 』 そう走り書きをして 今買って来たもの中に入れた。
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