冷たい理想

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「熱を上げてるって…  ま、見た目は花丸だったし、気持ちは判るわ  ――――ね? 真白 」  意味ありげに私を見る真理に、 「そうね、見た目だけはね」と適当にあしらった。 (…結局、お見合いしたんじゃない ) あの時偶然見た写真が よりにもよって住井商事のお嬢様だったなんて (…酷い偶然よね ) 知らず知らず苦い笑みが漏れる。 いっその事その人と結婚でもしてくれたら この燻った気持ちは無くなるんだろうか 「――――ねぇ  二人は結婚って、どう思ってる?」 ぽつりと呟く私に、 二人は驚いたようにこちらを見る。 「何、どうしたの」 あからさまな反応に、私はしまったと思いつつ 「…別に、深い意味はないわよ」と 何でもない風に続けた。
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