冷たい理想

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「なにそれ  そんなのしたいって思う相手がいないわよ  ……っていうか本当はなに?  引きこもってた理由はまさか――――」 顔を見合わせた二人の目が、大きく開く。 その顔を見て私は首を横に振って、 「違う、妊娠なんてしてないわよ  ただ…」 「―――ただ?」 「…何となくだけど、上手くいきそうな人はいるの  それで…」 「え? 誰?」 間髪入れずに訊き返されて、 一呼吸置きつつ、微かに視線を外した。 「…富士製薬の副社長してる人 」 「えっ まじで! もう落ちそうなの?」 「……そうね、  このまま距離を縮めたらね」 「なにそれー  そんないい相手そうそうないわよ」 (…やっぱり、そう思うわよね ) 『先を越された』とぼやく二人を眺めつつ 小さく苦笑する。
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