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その言葉が耳に響いたと同時に視界が揺れて、
滲んだ瞳いっぱいに彼の胸が広がった。
薄い布越しに感じる、少し速い鼓動
それが私の心を強く掴んで、
せり上がってくる熱いもののせいで、
言葉にならない
何度その鼓動を聞いただろうか
自分の逸る心音と重なった時、
「なら……、言ってよ
―――私が、好きだって」
消えそうな程細い声を絞って
目の前のシャツを緩く握る。
僅かな間が流れて
掴んだ指が震えそうになった瞬間、
耳元に吐息を感じた。
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