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「おー、渡瀬!」
「久しぶり、元気にしてたか?」
待ち合わせの駅前で、
1年ぶりにゼミ時代の友人と顔を合わせた。
「そこそこ元気だった
……で、二人は?」
言いながら隣に立つと、
「そこそこ元気だった」
そう二人して口を揃える。
「…なにそれ」
「なにそれって、お前が言ったんだろ」
小突かれる事も久しい俺は
口の端に小さな笑みが漏れた。
俺にメールをくれた田中は
笑いながら駅の時計に目を向けて、
「そろそろ行こうか、
確かお前ってワイン好きだったよな?
結構揃ってる店を教えて貰ったから
今日はそこに行こうぜ」
「それはどーも」
酒なら何でも飲めるけど、
そういう心配りは素直に有難かった。
そうして何の疑いもなく連れられた店
それは、いつもこいつらが使わないような
小綺麗な店だった。
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