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「――――なに…よ…
どうしてそんな事を言うの…!
私の事は単純な興味だけなんでしょ?
私は……っ」
俺の目の前で、
堪えようとする瞳がどんどんと滲んでいく
それを目に、
胸の内が揺さぶられて咄嗟に手を伸ばした。
逃がさない
逃がしたくない
掴んだ手に力を込めると、
潤んだ瞳を捉えて大きく口を開く。
発した言葉が張り詰めた空間に響いて、
すぐそこにある瞼から雫が一滴零れ落ちた。
初めてだった
そんな風に誰かに声をあげた事も、
こんな感情を抱いた事も
誰かの涙を綺麗だと思った事も
―――全部が初めてだった
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