プロローグ

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『 会社の為に結婚してくれ 』 そんな風に言われた事はない だけど同族経営をしている以上、 迫られるのはある意味当然の事で、 実際、父も母も見合い結婚だった。 ”ただ孫が幸せになれば” 祖父がそう願っているのも嘘じゃない でも、残念ながら俺にその気はなかった。 この年で女を知らない訳じゃない だけど男と女では価値観が絶対的に違う 俺は重い気分を振り切るようにソファーに鞄を放った。 金銭的な問題だけならホテル住まいでも構わないし、 その方が楽だけど ずっとこのままなら 家に戻れと言われるのは時間の問題だろう 「…早くどこか決めないとな」 ぽつりと漏らしつつ、 眼下に広がる東京の夜景に目を落とした。
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