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…その目…、
さっき見たのとは少し違うそれに、
俺は頬杖をついて目の前の顔を見つめる。
すると俺の目をしっかりと見返しながら
淡々と、それでいてはっきり意見を述べた。
( へぇ……、)
自然と息が漏れる。
別にその意見に感心した訳じゃない
ただそういう事情を知っていたこの女に対して、
少し見方が変わっただけの事
俺を見る目には
隠しているつもりで僅かに覗く優越の色
それを浮かべたまま女は視線を移すと、
「……渡瀬さん、
私にもそれ一杯、頂いてもいいですか?」
そう尋ねたと同時に、
場の空気がまた少し変わった。
視線が集中する中、
俺はおもむろにボトルを手に取る。
グラスに注いでやった事自体に
特に意味もない
強いて言えば、"俺の質問に答えたから"
ただそれだけ
だけど女は嬉しそうに小さく微笑んで、
俺はその顔を横目に見ながら
ゆっくりと自分のグラスに手を伸ばした。
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