思わぬ再会 #2

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「…はぁ…」 まだカーテンすらない 月明かりがだけが届く部屋で、 俺はその端にある唯一の家具に腰を落とした。 ベッドが軋む音が大きく耳につく。 祖父にホテル暮らしがバレて、 実家に戻れと手を回されかけたのが先週の事 そうして急遽決めた部屋がここだった。 取りあえず契約はしたけれど、 まだ何もないここにはいつもは帰らない だけど今日は実家に泊まることも、 ホテルに戻る気にもなれなかった。 「性急すぎるだろ…」 思わずため息混じりの声が漏れる。 さっき祖父に見せられたのは 締結書でも収支報告書でもなく、 10近くある見合い写真だった。
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