本性はどれ

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「はい、承知しました」 秘書らしき人が足早に部屋を後にすると、 「―――渡瀬くん、  すまないが少しだけ待っててくれないか」 富士川さんもその後を追うように席を外す。 バタン とドアが閉まる音が響いたと同時に 知らず知らず上を仰いで息を漏らした。 ( ローツか……) ローツとも事業提携を と考えなかった訳じゃない だけど中々話を出来る段階じゃなくて 話をするまでには至っていなかった。 富士川さんはそのあたり、とても上手い その辺は見習わないとと思いつつ 少し目を閉じた時、 ふっとある女の顔が頭に浮かんで (―――――――――――) その何とも言えない表情が 自然と俺の口からため息を漏らす。
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