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「――――ほら、これっ」
言いながら手に持った紙を俺に叩きつけた。
何だろうと思いつつも
表情を変えずにそれに目を落とせば
「へぇ…
こんなの持ってきたんだ 」
思いもよらないそれに
知らず知らず小さな声があがる。
俺はしわの寄った薬剤情報の説明書を手に
目を細めつつアヤへと視線を戻した。
こんなものを用意して乗り込んで来るなんて、
あれでもう終わりだと思っていても
そんな簡単にはいかないらしい
「飲み始めたわよ、
ちゃんと病院で貰ったやつをね」
どうだと言わんばかりの表情に
俺は少し間を置いて、
「……アヤさんは、俺にわざわざ知らせに来たんだ?
”ピルを飲み始めました” って 」
そう淡々と口にすれば、
大きく目を開いたアヤは言葉を失った。
今までの振舞いとは全く違うそれに
本性はこれかと思いつつゆっくりと近付く。
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