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「ちょ、な、に…」
掴んでいた腕を離して身を起こせば、
そこにあるのはあの時と同じような
呆然とした表情
( その顔……、)
俺は「あぁ」と小さく呟くと、
「……礼儀、かと思って
こんな所までわざわざ寝たいって言いに来たのに
ただで返すのも 」
「―――――――!」
瞬間、思い切り動揺した顔をしたアヤは
すぐに唇を噛みしめながら俺を睨んだ。
(……………………)
本当の”アヤ”はどれなのか
こんな短時間でくるくると変わるから
掴みようにも掴めない。
だけど、
「 この先は……また機会があれば
――――お休み、アヤさん 」
自然とその台詞が口をついた事に驚きつつも、
俺はエントランス横のロックを外して
アヤから背を向けた。
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