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その隣にどさりと腰を落とす。
ゆっくりと目を閉じれば
脳裏にいつもの自分が顔を出して、
”―――早まっただろ ”
そう呆れた声で呟く。
(……だろうな、 )
そんな事は判り切っていて、
この状況を甘んじている自分が理解に苦しむ。
アヤの本意は掴めないまま
金に執着してるだろう女と
一線を越えようとしてるなんて、
この先の事を考えればどう考えても普通じゃない
―――なのに、
「……………………」
俺はため息ひとつ零すと、ゆっくりと瞼を開けた。
おもむろに脱いだ背広を背もたれに置くと、
腰を上げてアヤの消えた先へと歩き出した。
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