溶けない肌

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出しっぱなしの水の音が、ドアを開けた音を掻き消す。 湯気で少し曇る視界の中、 視線を移してゆっくりとシャワースタンドに手を伸ばした。 瞬間、すぐ目の前の肩が大きく跳ねて、 「なんで…」 咄嗟に漏れた声が水音に混じり、 呆然と見上げる顔が視界の端に映る。 そのままシャワーを浴びて水滴を拭うと、 前髪からポタリと雫が落ちた。 「 風呂、長すぎ  その割にまだ入ってなさそうだけど 」 軽く後ろを振り返って 溢れそうになっているバスタブに目を向ける。 「ちょっと、何で入って来て……」 動転したらしいアヤは上擦った声をあげ、 ただただ目を開いていた。 思っていた以上の反応に「あぁ、」と小さく呟くと、 「どうせお互い脱ぐんだし…  いつ見せても同じだろ 」 瞬間、その目が大きく開く。 けれど、すぐに瞳を揺らして アヤは気まずそうに視線を逸らした。
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