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煌々とする明かりの路地に出ると、
もう日付が変わっているのに纏わりつくような暑さを感じた。
ネオンが光る通りの真ん中で視線を彷徨わせるけれど、
似たような背格好の二人組ばかりで
俺の探している二人は見当たらない。
そのまま踏み出そうとした足が、ふと止まって、
“―――行ってどうする?”
冷えた声が頭の中で響く。
長い付き合いの中で、
山梨が女に誠実なのは知っている
それでなくとも、
アヤに入れ込んでいるなら俺が口を出す事じゃない
そう頭では思うのにどうしても足が急いて、
視線が二人の姿を探してる。
逸る気持ちは一体何なのか
『真白』を傷つけた事を取り成したいのか、
それとも強く責めて靄を晴らしたいのか
それすら分からないまま先を歩いた。
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