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それは直に触れていないと判らない程、微かな揺れ
だけどアヤを通して、”真白”に触れたというシグナルだった。
核心に近付こうとする心が疼いて、
沢山の言葉が胸に浮かび始める。
だけどその中で言葉になったのはひとつだけで、
「―――で? ヨリは戻ったの? 」
あんな風に動揺する程、心に深く残っている男
あれから今日までかなりの時が過ぎていて、
もしかしたら気が変わっているかもしれない
だけどそうじゃなくて、俺の予想している通りだと、
……もう戻らないと、口にするのを待っていた。
交差点の脇で足を止め、アヤの奥、『真白』を見つめる。
唇を強く結んで視線は遠く、
決してこちらを見ようとはしない。
静かな間が俺を焦らせる中、
かなり長い時間を掛けて届いたのは、
俺の問いを介さない、別の言葉だった。
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