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ぐらりとよろけた体が、俺の胸に当たる。
同時にふわりと香るのは
いつしかアヤと初めて会った時と同じもの
至近距離にある目が大きく開いて、
その瞳に映る自分を見返した時、
「……朔ー、」
嘆息混じりの呆れた声が辺りに響いた。
その声の方へと眦を細くすると、
あからさまなため息と共に、山梨はゆっくりと顔を上げる。
「―――で?
それ、どういう意味なん?」
探るような問いに、驚き固まる瞳
ふたつの視線の真ん中で、
一瞬この手を離すかどうか迷う
――――だけど、
俺は財布から札を抜いてアヤの手に握らせた。
「―――――――――――――」
されるがままに目を落としていたアヤの目が大きく開き、
少し遅れて顔を上げる。
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