450人が本棚に入れています
本棚に追加
意図も意味も理解出来ない
そんな表情で俺を見上げるアヤに、
何か、と口を開こうとした時、
「やからさぁ、
それが何の真似かって聞いとんねん」
痺れを切らしたように山梨が一歩前へと踏み出した。
(……なんの真似…、)
内心自嘲の息が漏れる。
俺自身、こんなことをする自分が説明出来ないのに
言葉にするなんて不可能だ
―――だけど、
その目を見返しながらふっと辿り着いた理屈は、
「目の前であんな風に出られたら
流石に気分悪いだろ
―――――それだけ 」
『 気分が悪い 』
大きく吹いた風がアヤの声にならない声を攫い、
掴まれた札束がバタバタと音を立てる。
―――そう、それだけで俺はここにいる
山梨とそうなるかもしれない事が、
胸に広がる黒い染みとなる事を判っていたから
最初のコメントを投稿しよう!