見せない心

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「―――――――――――」 深いため息が漏れる。 長い付き合いだけれど、 間に女を挟んだ事は初めてで、 遠ざかる背中を呆然と見つめていたアヤは 俺の吐き出した息に小さく肩を震わせた。 視線の先には路地に浮かぶ、二つの薄い影 それからおもむろに視線を隣に移すと、 小さく唇を噛んだ横顔を見つめた。 もしも会ったなら何か言おうと思っていたのに、 だけどまだ… その『何か』が見つからない アヤは鞄を開き、俺の掴ませた札をゆっくりとしまう。 そうして躊躇いを払うように一瞬目を伏せた後、 「…渡瀬様…  これからどうしましょうか?」 にっこりと微笑んで俺を見上げた。
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