衝動

12/38
前へ
/38ページ
次へ
もう何年も、 リードは収益をひとつの薬に依存している状態が続いている。 その状態から脱却するために、 予防や診断、治療の全領域をカバーすることを目標として改革を進めていた。 (……どうするかな ) 言われた事を反芻しつつ息を吐き出すと、 踵を返してラウンジに戻る。 窓辺の席で食事を始めようとする姿を見つけ、 俺はコーヒーふたつを手にそちらに足を向けた。 片方を置いてそのまま向いに腰掛ける俺に、 真白は何か言いたげな顔をした後、 少し間を置いて「…食べないの?」と訊ねる。 「あまり空いていない」と言えば、 また少し間を置いて、 「自宅も…実家だって近いのに、  ここを借りてるのは どうして?」 そんな質問を俺に向けた。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

387人が本棚に入れています
本棚に追加